商標が類似するかどうかは、次の組み合わせで判断します。
- 商標そのものが類似するかどうか
- 指定商品・指定役務が類似するかどうか
1と2のどちらも類似するときにのみ、商標が類似すると判断されます。
したがって、たとえ商標そのものは全く同じであっても、指定商品・指定役務が他人のものと非類似であれば、商標全体としては非類似(似ていないので抵触しない)ということになります。
「1. 商標そのものが類似するかどうか」の判断基準
商標の次の3つを総合判断します。
- 見た目(外観)が似ているか
- 読み方(称呼)が似ているか
- 意味合い(観念)が似ているか
特許庁の審査では、この3つのうちどれか一つでも似ていれば、総合判断としても「似ている」という判断が下されることが多いです。
たとえば、『Toreru』と『TOLELU』は見た目は違いますが、読み方は「トレル」で同じです。したがって、この2つの商標は「似ている」と判断される可能性が高いです。
「似ている」かどうかのボーダーラインは?
たとえば「読み方(称呼)」について、どのくらい読み方が近ければ「似ている」となるのでしょうか?
1音違えば「似ていない」? それとも3音くらいは違わないと「似ていない」とはならないのでしょうか?
これについては一概には言えません。具体的に何の音が違うのか、たとえば「ア」と「ケ」の違いなのか、「ス」と「ズ」の違いなのか、によっても聞き間違いやすさは変わります。語頭の音が違うのか、末尾の音が違うのかによっても変わります。
また、過去の事件における判断例の蓄積状況によっても特許庁の判断に影響を与える場合があります。
このように、商標が似ているかどうかの判断には、考慮すべき要素がたくさんあり、複雑で高度な判断が必要になります。
「2. 指定商品・指定役務が類似するかどうか」の判断基準
指定商品・指定役務に付与されている「類似群コード」が同じかどうか、が判断の基本です。
「類似群コード」とは、指定商品・指定役務ごとに特許庁が付与する「数字2桁 + アルファベット1桁 + 数字2桁」からなる文字列です。
たとえば、以下のように類似群コードが付与されています。
「ワイシャツ」と「ズボン」は同じ「17A01」の類似群コードがついているため、原則として両者は「似ている商品」と判断されます。
一方、「靴下」は異なる「17A04」の類似群コードがついているため、「似ていない商品」と判断されます。