「誰の商品・サービスかを識別する目印となる力」のことです。
そもそも「商標」とは、単なる名称や記号ではなく、誰の商品・サービスかを識別できるようにするために使われるものをいいます。
そのため、商標登録の審査に合格するためには、似た商標がすでに取られているかだけでなく、商標として機能するだけの十分な「特徴(識別力)」があるかどうかという基準もクリアする必要があります。
特徴(識別力)がない例
商標の「特徴(識別力)」を理解するには、「特徴(識別力)がない」のはどのような場合かを考えるとわかりやすいです。
図1の2つのリンゴには、それぞれ『おいしい』と『甘い』の文字が印字されています。
図1
この場合、この2つのリンゴが同じ生産者のものなのか、それとも違う生産者のものなのか、直感的に判断できるでしょうか?
おそらく「できない」と思います。
なぜなら、『おいしい』も『甘い』も、消費者は単にリンゴの品質を説明している言葉として理解するのが普通で、まさか『おいしい』や『甘い』が生産者などを識別するブランド名だとは思わないからです。
このような場合、『おいしい』と『甘い』の文字は、「リンゴ」という商品との関係では商標としての特徴(識別力)がないといいます。
特徴(識別力)がある例
一方、図2の2つのリンゴには、それぞれ『Toreru』と『ABC』の文字が印字されています。
図2
この場合は、左右のリンゴが別の生産者のリンゴであると直感的に理解できます。
なぜなら、『Toreru』も『ABC』も、リンゴに対して普通に使われる言葉ではないからです。普通には使われない言葉やマークがついているとき、消費者は「きっとこれはブランド名を表しているのだろう」と感じます。
このような場合、『Toreru』と『ABC』の文字は、「リンゴ」という商品との関係では商標としての特徴(識別力)があるといいます。