35類に小売業という区分があり、この区分を利用すると複数区分の商品をまとめて1区分で出願することができます。
商標出願の費用は区分ごとにかかるため、出願費用を抑えるためには有効な手段なのですが、相乗りや侵害排除を商標登録の主な目的とする場合にはリスクがあります。
理由としては、35類はあくまで小売業であり、販売ストア名をカバーするための区分であり、商品そのものの区分ではありません。
例えば、「ハイル」という名前のバッグを開発し、35類の「かばんの小売」だけで商標を登録、Amazonで販売していたとします。
「ハイル」バッグは人気になり、他人が「ハイル」の販売カタログに相乗りしてきました。相手が取り扱っているバッグ本体には「ハイル」のブランド名も印字しているようで、明らかな模倣品です。
商標登録しているのは「かばんの小売」についてのみであり、35類の商標権の権利範囲は、18類の「かばん」そのものではなく、「ハイル」SHOPといったお店の名前に対してです。
商標法には、同一だけでなく、商品・役務(サービス)間が類似すれば、類似の範囲も他人の使用を禁止できるというルールがあります。
Amazonは、今のところ登録されている商標が小売区分(35類)でも、商品そのものの区分(1~34類)でも、どちらでも侵害削除の申請に応じるという運用なのですが、今後、35類に基づく商品への削除は認めない運用に変わるリスクは残っています。
35類のみの出願では、将来、Amazonで十分な侵害対策を採れなくなる可能性があります。
安全を考えるなら、商品区分の出願をしておくと良いです。
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